【特許翻訳学習者に特におすすめ】『よくある間違いと修正ポイントが一目でわかる 詳解 特許翻訳』を使って学習し、翻訳力向上につなげよう

2021年11月2日

本を購入したきっかけ

2020年9月からレバレッジ翻訳講座を受講開始し、特許翻訳の学習を始めました。

この本の著者である、倉増氏を知ったのは、学習開始2か月目でした。
冠詞についての資料を探していて行きついたのが、
「数と冠詞の概念とその実務(明細書翻訳における)」(月刊パテント2015年4月)
という論考です。

これを読んだときには、まだ明細書をほとんど読んでいないときでしたが、
論点がはっきりとしていて、頭の中にぼんやりとあったものを
スッキリと整理してくれた、という感覚を受けました。

日本語にはない、数や冠詞の概念をわかりやすく説明されています。
長い間、日常的・感覚的に、英語を使っていますが、納得のいく説明ばかりです。
まず、この論考を読むことをおすすめします。

そして、『よくある間違いと修正ポイントが一目でわかる 詳解 特許翻訳』を購入。
翻訳学習開始2年と1カ月目です。
買ってよかったと思っています。

著者の紹介

著者である倉増一氏は、株式会社トランスプライムの代表取締役で、
特許翻訳セミナーも定期的に開催されているようです。
本著は、2冊目になります。

私は、翻訳学習当初から、
特許翻訳トランスプライムコラム
に大変お世話になっております。
勉強になることが盛りだくさんですので、こちらもチェックされることをおすすめします。

本の構成

『よくある間違いと修正ポイントが一目でわかる 詳解 特許翻訳』   倉増一 著

目次

第1章 背景技術

第2章 技術の理解力を高める

第3章 主語を決める

第4章 数値・数量表現のスキルを上げる

第5章 冗長な日本語から簡潔明瞭な英語を導く

第6章 舌足らずの日本語を論理的な英語に仕上げる

第7章 日本語の誤用を正す

第8章 長文の処理

第9章 文の構成と微妙な表現

第10章 文法・文体・定型文

第11章 その他

第12章 クレームの翻訳


右ページに課題があり、そのページをめくった左ページに、問題点と解説があります。
課題には、日本語とその原訳(英語)、図面(課題による)が載っており、
その課題ごとに問題点を見つけ、日本文を修正、または英文を修正するようになっています。
課題によっては、複数の修正案が載っているものもあり、答え合わせをするときに大変参考に
なります。

課題ごとに、著者からのヒントもあり、問題点を見つける手助けになります。
課題に取り組むためのヒントの他に、2つのコラムが載っています。
「技術の窓」として、文章を理解するために必要な技術の解説があります。
「言葉の森」として、訳語の確定の手助けになるような用語の解説があります。

限られたスペースにうまくまとめられています。
技術を理解されているからこそ書ける内容ですね。

今まで実際に読んだ明細書の中でぶつかった疑問点がいくつも紹介されていて、
付箋をつけていくと、全体の3分の1ほどになりました。
まずは、付箋をつけたところから読んだのですが、自分で悩んで出した訳語が
修正案に出ていて、自信につながりました。

おすすめポイント【この本を使って学習すれば身に付く3つの翻訳力】

1.日本語を論理的に読み解く能力を高める。
2.書かれている技術を正しく理解する能力を高める。
3.簡潔明瞭な英文を仕上げる力を身につける。

本全体が、日英翻訳対象として書かれていますが、英日翻訳でももちろん使えます。
翻訳するプロセスは違っても、高い翻訳力を身につけるためのポイントは同じだと思います。
私個人は、現時点では、英日翻訳の学習をしていますが、訳出しをしたあと、日英翻訳で
元の原文になるかどうかのチェックをします。

まとめ

課題は全部で250です。分野は多岐にわたっています。
右ページに課題、めくれば修正案、と、自分の力で課題に取り組めるように工夫されています。
課題に取り組む際のヒント、技術面や言葉のヒントなども盛り込んであるので、
自分の取り組んでいる分野以外のことも、ピンポイントで学べると感じました。
さらには、課題をきっかけとして、関連特許を読んだり、分野を広げることもできるでしょう。
特許明細書をある程度読んでいる学習者のあなたに、特におすすめです。
すでに翻訳者として稼働されている方々もぜひ。

よくある間違いと修正ポイントが一目でわかる 詳解 特許翻訳

posted with ヨメレバ  倉増 一 講談社  2021年07月28日頃

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